日本RF手術研究会ジャーナル Vol.13 No.1

子宮頸部円錐切除術におけるラジオサージェリーの工夫
藤吉 啓造(藤吉レディースクリニック)

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子宮頸部円錐切除術におけるラジオサージェリーの工夫

藤吉 啓造(藤吉レディースクリニック)

はじめに

LEEP(large loop excision procedure)法を中心に子宮頸部円錐切除術におけるラジオサージェリーの手技を解説する。

手術操作

1. 前処置
必ず術前のコルポスコピーで移行帯を確認し、病巣の広さに応じたサイズのループ電極【図1】を選択しておく。局所麻酔または腰椎麻酔下で砕石位をとり、子宮頸部の4時8時方向に吸収糸をかけ、移行帯がちょうど正面を向くよう固定する。希釈した血管収縮剤を切除予定範囲の表面が蒼白になるまで十分浸潤させる。切開の直前に生食で湿らせたガーゼと通電した電極を接触させ、生食が蒸発する程度に出力を調節する。また、このときにハンドピースと電極の接続にゆるみがないか再度確認しておく。
2. 切開(ループ電極)
まず混合モード(切開および凝固特性)で電極に通電させたのち、縦方向もしくは横方向に電極を垂直に接触させ、組織をすくい取るようゆっくりループを移動させる。切除は一度の操作で終了できる。途中で電極が進まなくなった場合は、対側から同様に切除をやり直す。必要であれば追加の切除を行う。
3. 切開(ボックス電極)
頸管側の追加切除が必要な場合はボックス型の電極でも可能である【図1】。子宮腟部が萎縮し、ループ電極による操作が不可能な場合にも、ボックス型電極での生検が有用な場合がある。
4. 止血
oozingがない場合でも血管収縮剤により一時的に止血している可能性があるので、ボール型電極【図1】により凝固モードで切断面の止血処置を行う。電極をピンポイントで接触させながら組織を炭化させないように凝固する。
5. 切開(バリチップ電極)
病巣が広い場合にはループ型電極の代わりにバリチップ電極(針電極)【図2】を用いて円錐状に切開すればcold knife法やレーザー法と同様の切除標本が得られる【図3】。間質組織を過剰に切除してしまわないよう表皮を一枚剥ぐ感覚で切開する。電線状の電極は繊細で損傷しやすいためディスポ電極が取り扱いには便利である。
【図1】婦人科用リープ電極

合併症

術後の合併症はcold knife法などと同様に出血、感染、頸管狭窄などがある。とくに止血が必要な術後出血は、ボール電極により外来での処置が可能である【図4】。

おわりに

高周波発生装置による円錐切除の手技に習熟しておけば電極のバリエーションの多様性(帆型レーツ電極の登場など)により、今後も様々な症例に対応できると考える。
【図2】バリチップ電極 A8D
【図3】バリチップ電極で切除した組織、【図4】バリチップ電極による円錐切除後10日目、2時方向からの拍動性出血をボール電極で止血

コンテンツ -contents-

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