【皮膚科】Case report D 皮膚科症例紹介

皮膚科におけるレーザーとラジオ波の使い分け

柴田 真一先生(SSクリニック 皮膚科)
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はじめに

皮膚科領域の対象疾患は幅広いことが特徴です。
今回は症例ごとに、レーザー、高周波ラジオ波メス(サージトロン)のどちらを使用するかについて、自身の治療経験から見解を述べます。

高周波ラジオ波メスが優れているケース
・比較的大きな皮膚腫瘍
・病理組織検査に提出したい皮膚腫瘍
・経験的にラジオ波メスでの治療経過がよい皮膚腫瘍(静脈湖など)
・清潔操作が必要な症例

臨床症例

47歳 女性、顔 色素性母斑

メスで切除して、縫縮すると瘢痕を形成する可能性があるため、炭酸ガスレーザーで焼灼することが多かったです。色素性母斑も大きいと治療時間がかかります。サージトロンでの治療は大幅な時間短縮を可能とし、術後の経過も良好です。

60歳 女性、左眉毛内側色素性母斑

サージトロンでドーム状に隆起した色素性母斑を切除する場合は、熱損傷による組織ダメージを考慮して、フラットではなくわずかに盛り上がりを残す程度に切除するのがよいでしょう。
また腫瘍の底から下記図のように切除アプローチすることで、組織が蒸散せず、病理組織検査に提出することができます。

79歳 女性、右下眼瞼 脂漏性角化症

サージトロンの焼灼モード(ボール電極を使用)で腫瘍を焼灼します。この症例ではコンタクトレンズを装着しましたが、慣れれば不要です。炭酸ガスレーザーと違い、ハンドピースによる操作なので眼瞼部でも安心、安全です。

56歳 男性 左頬 脂漏性角化症

最初はエルビウムヤグレーザーで焼灼しましたが、思うように削ることができませんでした。しびれを切らし、サージトロンに切り替え、ループ電極で削り取るように操作しました。術後の経過も大変良好です。

64歳 女性 下口唇 静脈湖

血管拡張性肉芽腫、静脈湖などの血管性病変は、経験的にサージトロンでの治療経過がよいように感じます。血管病変は腫瘍の中央に太い血管があるので、病変に針電極を挿入して、サージトロンでメインの血管を中心に焼灼破壊することは、理にかなっていると思います。局麻後、血液成分を吸引して、針電極を挿入、凝固モードで口唇が白色に変性するまで通電するのがコツです。

結語

比較的大きな皮膚腫瘍、病理組織検査に提出したい皮膚腫瘍はサージトロンがとても有用です。経験的に血管性病変も経過がよいです。眼瞼手術など清潔操作が必要な手術もハンドピースが滅菌できるサージトロンが優れていると考えます。
今後も症例を積み重ね、サージトロンによる治療が臨床的に優れている疾患についてさらに検討していきたいです。
柴田 真一先生
【筆者略歴】
1994年 岡山大学医学部卒業。社会保険中京病院、虎の門病院にて研修
2000年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 助手
2004年 名古屋大学医学部附属病院 皮膚科 講師
2008年5月 SSクリニック 開院
 
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